地球観測研究センターより
図1 鳥取砂丘と周辺画像
図1はALOS(だいち)が2008年11月に撮影した鳥取砂丘と周辺の画像です。画面中央の薄茶色の部分が鳥取砂丘です。中国山地の花崗岩が風化し、中央に見える千代川(せんだいがわ)により日本海へ流され、細かく砕かれた砂が海岸に集積してできた、我が国最大の海岸砂丘です。厳密に言えば、砂丘は千代川の東西、幅約16 km、奥行き約2 km程に広がっています。一般的には、観光地になっている、東側の幅約2 kmほどの地域が鳥取砂丘と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。
千代川河口の左側には鳥取空港が見えています。その左上、白砂の浜が続く海岸は、神話「因幡の白うさぎ」の舞台となった白兎(はくと)海岸です。近くには「因幡の白うさぎ」を祭った白兎神社があります。その下の青緑色の部分は湖山池(こやまいけ)です。砂丘により海と分離した汽水湖(海水と淡水が入り混じっている湖)で、近年、アオコの大量発生にみられる水質の悪化が心配されています。周囲約18 km、面積7.0 km2で池と名の付く湖の中で日本最大です。
画像中央、千代川に沿って青灰色の部分が鳥取市街地です。中心部に鳥取駅や県庁があり、県の中心地域です。市街東側、久松山の山頂部に鳥取城跡があります。ここには、戦国時代中頃の山城的遺構と、近世の城郭の遺構が併存しています。類例の少ないことから、学術的・歴史的にも貴重な城跡として、昭和32年(1957)に国の史跡に指定されました。鳥取城は、豊臣秀吉の兵糧攻めで有名です。現在は天守閣や二ノ丸跡などが残り、周辺は久松公園として整備されています。
画像右上の浦富海岸は山陰海岸国立公園に指定され、日本海屈指の景勝地として知られています。リアス式海岸が約15 kmにわたって続き、海食や風食によってできた奇岩、洞門、断崖絶壁が点在しています。また、この付近の海は透明度が高く、波が穏やかなときには、透明度は25 mにも達するそうです。
図2 鳥取砂丘の拡大画像
図2は、鳥取砂丘の拡大画像です。砂丘の中央あたりに“馬の背”と呼ばれる高さ40 mにも及ぶ丘があり、美しい風紋ができるところです。砂丘では、らくだに乗った遊覧、馬車の遊覧等の遊びができます。砂丘の右下に多鯰ヶ池(たねがいけ)が見えます。この池は、鳥取砂丘が谷をふさいだためにできたせき止め湖で流入・流出する川がないため、閉鎖水域となっています。最深部の深さは約15 mで中国地方で最深の池です。砂丘の東隣には、鳥取砂丘名産のらっきょう畑が広がっています。衛星画像からは農作物の生育状況がわかり、収穫時期の特定に使われています。
砂丘の周囲には防風林が植えられ、風による砂の害を防いでいますが、これが砂丘砂の移動を妨げ草地化が進み、かえって砂丘の縮小化へつながっています。このため、防風林の抜木や植物撤去工事が行われています。衛星画像は砂漠の拡大といった環境保全対策に使われています。また、砂丘内には鳥取大学乾燥地研究センターが設置され、砂漠化の防止や緑化のための研究を進めています。鳥取砂丘はその環境を生かし、地球環境を守るための研究に役立っています。
詳細は http://www.eorc.jaxa.jp/imgdata/topics/2009/tp090902.html
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